温泉治療を用いた”メディカルトラベル”新しい湯治の確立を目指す
「昨今の社会情勢は、医療福祉にとって大変厳しい状況です。特に北海道に関しては医師・看護師の不足は深刻であり、道東においては一層厳しい現実ですが、いかに厳しい状況下であっても医療・福祉というのは、私たち人間社会にとって必須なものであることは変わらないと思います。医療福祉が地域社会にあわせて変革を迫られることはあるにせよ、本質から外れず進んでいくことが非常に重要であると私自身常に心しております」
皆が夢を共有できるような病院づくりを目指します
病院概要
川湯の森病院は、1979年犬山第二病院として開院。以来、地域医療に尽力してきた。現在は、内科と心療内科を標榜、医療療養病床100床を擁する。同院の齋藤浩記理事長は、もともと埼玉のクリニックで診療を行 っていたが、要請を受け、07年5月に理事長に就任、経営を引き継ぎ、09年5月には法人名を医療法人共生会(ともにいきるかい)と変更した。
病院の理念
同法人名には、1.患老とその家族および地域社会と共に生きる、2.スタッフや同法人に賛同、協力してくれる人々と共に生きる、3.自然と共に生きる。この3つの意味が込められており、地域社会と一体となった医療・保健・福祉の複合的施設として展開することを目指している。シンボルマークは、3色のラインがハートの形を作り一体化させて「和」を表現している。
新病院の構想
同院は、現在の病院の隣に約ー万坪の土地を取得、2011年に移転する方針。法人理念にもあるように、自然環境に配慮し、白樺の林の中に木造建築で病棟を建設。川湯の温泉も利用する。
新病院の目指す医療
「一つ目は、地域の要望に応え、東洋医学と 温泉療法を組み合わせたメディカルトラベルを計画しています。ここでいうメディカルトラベルとは、うつ病患者に対する転地療養や観光医療も含まれます。年間の自殺者が3万人を超える現代、その対策は急務と言えます。うつ病は、心の生活習慣病的な側面もあります。川湯地区は、大自然に囲まれマイナスイオンも豊富で療養地としては最適です。二つ目は、温泉に浸かりながら、正しい食生活で身体を癒す、即ち、『医食同源』を実現するために、医療従事者が一丸となって取り組んでいきます」
将来に向けて
「地域医療にも尽力し、地域の方々への訪問診療や近隣の医療横開との連携を密にし 弟子屈地区の医療を急性期を含めて担っていけるよう、体制を整えていきたい。また、全国に発信できるモデル病院をつくり、雇用等で、地域活性化の一翼を担っていきたい。そして、皆が夢を共有できるような病院づくりを目指します」