高齢者虐待防止に関する指針
虐待の防止に関する基本的考え方
目的
医療法人共生会 川湯の森病院(以下、当院とする)は、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号。以下「高齢者虐待防止法」という。)の実効性を高め、利用者の尊厳の保持・人格の尊重が達成されるよう本指針を定める。
高齢者虐待の種類
高齢者虐待とは、次のいずれかに該当する行為をいう。
身体的虐待
高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴力を加えること
心理的虐待
高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
経済的虐待
養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分すること
その他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること
その他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること
性的虐待
高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者の意思に反して性的な行為をすることやわいせつな行為をさせること
放棄・放任(ネグレクト)
飲食物を与えず、衰弱させたり、長時間放置したり、職員として行うべき仕事を行わないこと
虐待に対する「自覚」は問わない
患者・利用者本人や養護者の虐待に対する自覚の有無にかかわらず、客観的に患者・利用者の権利が侵害されていると確認できる場合には、虐待の疑いがあると考えて対応する。
患者・利用者の安全を最優先する
高齢者虐待に関する通報等の中には、患者・利用者の生命に関わるような緊急的な事態もあると考えられ、そのような状況下での対応は一刻を争うことが予想される。入院や措置入所などの緊急保護措置が必要な場合には、養護者との信頼関係を築くことができないときでも利用者の安全確保を最優先する必要がある。
常に迅速な対応を意識する
高齢者虐待の問題は、発生から時間が経過するにしたがって虐待が深刻化することが予想されるため、通報や届出がなされた場合には迅速な対応が必要である。
組織的に対応する
高齢者虐待の事例に対しては、担当者一人の判断で行うことを避け組織的な対応を行うことが必要である。
相談や通報、届出を受けた職員は、早急に虐待対応の担当者やそれに相談し、相談等の内容、状況から緊急性を判断するとともに、利用者の安全や事実確認の方法、援助の方向などについて組織的に判断していく必要がある。
特に、利用者の安全や事実確認のための調査では、担当者一人への過度の負担を避け、また客観性を確保するなどの視点から、複数の職員で対応することを原則とする。
関係機関と連携して援助する
複合的な問題を抱える事例に対しては、問題への対応機能を有した機関との連携が不可欠であり、地域包括支援センターが構築する「高齢者虐待防止ネットワーク」を活用することが有効である。
記録を残す
高齢者虐待の対応に関する会議や当事者とのやり取りはすべて記録に残し、適宜、組織的に対応状況を共有する必要がある。対応如何によっては、個人の生命に関わる事態に発展する可能性もあるため、対応の決定にあたっては、一職員ではなく組織としての実施を徹底させることが重要である。
記録を残し説明責任を果たすことは、事後検証や権限行使等を伴う虐待対応において欠かすことができない。
虐待防止委員会その他院内の組織について
当院では、高齢者虐待の防止、早期発見及び虐待発生時の適切な対応並びに再発防止を図る為、虐待防止委員会を設置する。
虐待防止委員会は、医療安全委員会と一体的に運営する。
委員会の構成及び役割
委員長は身体拘束ゼロ委員会の委員長が兼任し、委員会の運営及び虐待防止に関する取り組みを統括する。
開催頻度
委員会は年1回以上、虐待防止に関する事項を審議する。また、必要に応じて臨時に開催する。
検討事項
委員会は以下の事項について検討し、その結果を職員に周知する。
- 高齢者虐待防止指針の整備及び見直し
- 職員研修の計画及び実施状況
- 虐待の早期発見及び相談・報告体制の整備
- 虐待発生時の対応及び関係機関との連携
- 虐待事例の原因分析及び再発防止策
- 再発防止策の実施状況及び効果の評価
記録及び周知
委員会に置ける検討内容及び決定事項は議事録に記録し、必要な事項を職員に周知徹底する。
虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
研修プログラムの作成
本指針に基づいた研修プログラムを組織的に作成し、職員教育の徹底を図る。この研修は、虐待の各種形態、その兆候の認識、適切な対応方法、法的な背景と責任に関する内容を含む。
定期的な研修の実施
すべての職員は、年に少なくとも一度はこの研修を受ける。研修は、職員の知識とスキルを更新し、虐待防止に関する意識を高めるために重要である。
新規採用者への研修
新規採用される職員には、入職時に必ず虐待防止研修を実施する。これにより、新たな職員も当院の虐待防止方針を理解し、実践する能力を身に付ける。
研修内容の記録
研修の実施内容、日程、参加者などを記録する。
虐待等が発生した場合の対応方法について
迅速な報告
虐待が疑われる場合、職員は高齢者虐待防止法に基づく通報義務を遵守し、ただちに管理者や指定された担当者に報告する。同時に、市町村担当者や地域包括支援センターに速やかに通報する。
事実確認の協力
市町村や地域包括支援センターによる事実確認に全面的に協力する。これには、関係者の面談や証拠の収集などが含まれる。
被虐待者の保護
虐待が確認された場合、被虐待者の安全確保と心理的サポートを最優先に行う。必要に応じて追加の医療介護サービス等を提供する。
養護者の支援
虐待が養護者によって行われた場合、養護者もまた支援を必要としている可能性があることを認識し、適切な支援を検討する。これには、介護疲れ、経済的問題、医療的課題など、虐待の背景にある複数の要因を考慮する。
虐待者が職員の場合
虐待者が職員であることが判明した場合は、厳正に対処する。これには、必要に応じて懲戒処分や法的措置の実施も含まれる。
虐待等が発生した場合の相談・報告体制について
虐待等が発生した場合に対応するための明確な相談・報告体制を整備し、職員および利用者が安心して相談や報告ができる環境を提供する。
相談窓口の設置
虐待に関する相談や報告を行うための専門窓口を設置(身体拘束ゼロ委員会)し、職員や利用者が安心して相談・報告ができるようにする。
報告内容の適切な扱い
報告された情報は慎重に取り扱い、個人情報の保護に配慮しながら適切に管理する。
報告者へのサポート
報告者に対して適切なフォローアップとサポートを提供し、報告による不利益が生じないように配慮する。
成年後見制度の利用支援について
判断能力の不十分な高齢者の権利擁護のため、成年後見制度について利用者や家族に情報提供を行うとともに社会福祉協議会等の適切な相談窓口を案内する。
虐待等に係る苦情解決方法について
虐待やその疑いに関する苦情に対応し、それらを適切に解決するため以下の体制を確立する。
苦情受付窓口の設置
虐待に関する苦情を受け付ける専用窓口を設置する。この窓口は、患者・利用者が自由に利用でき、安心して相談できるような環境で運営される。
苦情の迅速な対応
受け付けた苦情に対しては迅速に対応し、事実関係の調査を行う。必要に応じて、適切な対応や措置を講じる。
透明性の保持
苦情の処理過程は透明性を持ち、利用者や職員に適宜情報を提供する。ただし、個人情報には十分配慮する。
解決策の検討と実施
苦情に基づいて適切な解決策を検討し、必要に応じて実施する。これには、職員の再教育、業務プロセスの見直し、または他の適切な措置が含まれる。
苦情処理の記録と評価
苦情の処理過程と結果は記録し、これを基に虐待防止のためのシステムやプロセスの改善を図る。
患者・利用者等に対する当該指針の閲覧について
本指針を院内に掲示すると共に当院のホームページに掲載することで、いつでも利用者や家族が閲覧できるようにする。
毎年1回以上、本指針の見直しが必要か検討し、必要時、議案として取り上げ、検討するものとする。